こんにちは、高井です。
今日はとりとめのない本の話で。
divdiv
「ロング・グットバイ」 ハヤカワ文庫 レイモンド・チャンドラー
誰だって忘れられない小説の1つや2つはあるものだ。
それが僕の場合レイモンド・チャンドラーの「長いお別れ」という探偵小説になる。
誰もが読めば面白い、というわけではないが、間違いなく傑作に思える。
※先日も村上春樹訳版を読んでみたけど、なんか個人的にもこんな作品が存在してくれてありがとうって、誰かに言いたくなるぐらいの傑作ではないかと思っている。
『長いお別れ(ロング・グッドバイ)』これは題名の文字通り、別れのお話。
といっても男と女のよくある安っぽいメロドラマじゃありません。
男同士の友情のお話。
とっても切ないんです。
人間としての根本的な何かが壊れている、歪んだ人間性と潔癖なプライドが両立する男テリー・レノックス。
そしてタフでクールで孤独な私立探偵フィリップ・マーロウ。
たぶん孤独だからこそ惹かれあう、この二人の友情関係がとってもストイックで切ないんです。
「さよならは言いたくない。さよならは、まだ心がかよっていたときにすでに口にした。それは哀しくて、孤独で、さきのないさよならだった」(P532)
この「さきのないさよなら」は本当のさよなら。つまりもう絶対に会うことも、話すこともないさよなら。つまり死を意味している。
そう言ってテリーを拒絶するマーロウが、ラストでセニョール・マイオラノスと決別するシーンはホント何度読んでも泣けます。
本当は、そのさよならは自分としては不本意で、この胸のつかえを取り払ってくれることをどこかマーロウは夢想している。
けれど自分の徳義(ルール)は曲げられないのだ。
やせ我慢する男は昔からどうもカッコよく感じますね。(高倉健みたい?)
span
あと、チャンドラーの小説には名言がたくさんあります。
この『長いお別れ』では
さよならを言うのは、少しだけ死ぬことだ
To say goodbye is to die a little
To say goodbye is to die a little
という有名な言葉があります。
これはさよならはいわば死に少しだけ近づく、ってことに読み取れます。
div
僕が好きなのはこれ。小説『プレイバック』の中にある、
タフじゃなくては生きていけない。やさしくなくては、生きている資格がない
If I wasn’t hard, I wouldn’t be alive. If I couldn’t ever be gentle, I wouldn’t deserve to be alive
If I wasn’t hard, I wouldn’t be alive. If I couldn’t ever be gentle, I wouldn’t deserve to be alive
これ昔もう辞められた名大社の先輩営業の方に「お前は基本的に優しくないね」って言われ、このセリフを知っているか?と詰められました。
高井には浪花節が通じないね、って意味で言われたんじゃないかな?その時は結構生意気に反論しましたが今はそのことがすごく良い思い出ですね。
では。