――――技術・キャリアがあってメンタル面も強い技術者が求められているのですね。
ええ。でもこれは技術者に限ったことではないと思います。例えば、営業の場合ですと、これまでは完成度の高い商品同士の勝負だったのですが、いまはお客様の知識も豊富ですし、インターネットを見れば会社のことも商品のことも分かってもらえる、さらに価格自体もオープン価格……。となると、営業は「付加価値を売る」「テクニックやノウハウを売る」ことで勝負することになります。市場が変わればニーズも変わり、ニーズが変われば営業手法も変わるわけで、ソリューションをサービスとする営業には支柱となる人間性や精神力は欠かせないと思います。
――――営業の方にも技術者と同じくらいの知識が必要なのですね。
そうですね。実際、技術者から営業に職変えする人もいますが、これには営業マンはビビリますね(笑)。お客様と踏み込んだ話ができ、その場で技術的回答ができるわけですから、お客様も魅力に感じるのではないでしょうか。
――――なるほど。そのような効果があるならば、あえて技術者を一時期営業に配属してみる、などのやり方が出てくるかも?
技術者でありながら営業マンでもある「フィールドSE」がそれに近い形ですね。しかし営業への“異動”となると、「技術者として失格なの?」ととらえる人もいるのではないでしょうか?技術者は技術に携わることでモチベーションを維持できるものだと思います。ただ、「キャリアアップとしていろんなことをやってみよう」とフレキシブルに考える人も増えてきましたから、これからはそのやり方も広がっていく可能性があるかもしれませんね。ひとつのことに固執するより道も広がりますし。
――――柔軟な対応も一考の価値ありというわけですね。それでは最後に、IT業界をめざす転職希望者の方々にメッセージをお願いします。
冒頭にも述べましたが、この業界は様々なポテンシャルが潜在していますので活躍するステージとして大変魅力的な業界であるといえます。一方で、競争も激しく製品や技術が淘汰されることも早いですので、柔軟な身のこなしも重要です。技術者志向の方は、時代の潮流に合わせた資格取得やスキルアップなどで大変ですが、それを「やりがい」という言葉に置き変えられる人ならば、ITの世界で長く活躍していけるはずです。
キャリアを積み重ねていくなかでいくつかの分岐点があるでしょう。ひとつの専門分野でプロフェッショナルになる道もありますが、ハングリーにいろんな技術を覚えて横に広げていく道もアリなのではないかと思います。いまのスタンダードが5年後10年後にどうなっているか、わからない世界ですから。そういったことを考えながら、会社は慎重に選んでほしいですね。そして、どうかしっかりと自分の生きる道を探してください。
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