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スピード化やコスト競争など、過渡期にある陸運業界。その中で一般商業物流で活躍する西濃運輸株式会社の労務部・渡邊久人課長に、業界の最新事情や、必要とされるスキルの変化について伺いました。


────物流業界の現状について教えてください。

現在、陸運業界は約6万社。過当競争の中にあります。その中で求められるのは、「安全確実」に「早く」荷物が届くこと、そして「価格」となっています。現状ではどうしても値下げ競争に走りがちです。

しかし原点に立ち返ってみれば、実はただ荷物が早く届けばいいというものでもないのです。私たちのような一般商業物流の世界はとくにそう言えますが、早く着きすぎても、まだお客様の準備が整っておらず、荷物を置くための余計なスペースを作らないといけなくなってしまいます。

お客様が望んでいらっしゃる時間に確実にオンタイムでお届けすること。私たちはそこにこそ力を注ぐべきだと思っています。

────その実現のために取り組んでいることは?

まずハード面ではトラックターミナルの拡充です。私たちは全国に約150のターミナルがあります。投資効果を見極めた上でお客様にできるだけ近いところに拠点を持つことです。

さらにこれまでマンパワーだった荷さばきを独自開発したユニットロードというシステムによって軽減し、こまやかな時間設定での配送が行えるようになりました。

────IT技術も活用されているようですね。

ドライバーが端末に入力することで、お客様が配達予定時刻をチェックできるサービスを整えています。

お客様にも喜ばれていますし、私たちにとっても問い合わせ件数が大幅に減るため、窓口のオペレーション作業を軽減できる効果があります。

もちろん、ITの力だけでなく、ドライバーの経験による蓄積があってこそのサービスですが。

────今後は、ただ運ぶだけでなく、お客様への情報提供も重視されているようですね。

私たち運送業者は、商品の売れ筋などを実はかなり把握しているんですよ。問屋やメーカーも無駄な在庫や品切れを防げるために、売れ筋情報をとても欲しがっています。

そうした情報のフィードバックは、私たちの大きな付加価値となり、新たなサービスの創出にもつながります。将来的に価格だけの競争ではなくなると考えています。

────求められる人材についてお聞きしたいのですが、西濃運輸の手がける一般商業物流は、一般の人が目にする宅配業者と、どのように違うのでしょうか?

モノを届けるという基本プロセスは同じですが、大きな違いは扱う荷物の大きさや量ですね。またメーカー・問屋・小売などいわば流れの上流から中流が対象となるのも異なるところでしょう。

────セールスドライバーの仕事内容に違いはありますか。

基本的に企業相手なので、エリア内の決まったお客様と長くお付き合いすることになります。つまりコミュニケーションを通して信用していただかないければいけません。「お客様のために走る」という気持ちを持つことが信頼関係の構築にもつながります。

私たちが「時間」と並んで大切に考えているのが「氣持ちの提供」です。お客様との信頼関係は、私たちを選んでいただく基準にもなります。挨拶や気づかいはもちろん、お客様の「声なき声」に気づいて行動できること。

当社には約6700名のセールスドライバーがおりますが、全員がその意識をもって活動できるよう心がけています。

────物流業界も価格以外のプラスαが求められているのですね。そのために必要なスキルはなんでしょうか?

まずコミュニケーションができる人でないと務まらなくなってきています。以前は、陸運業界では「運転手」「ドライバー」という言葉で呼んでいました。しかし、今はどの企業でも「セールスドライバー」と呼ぶようになっています。単に荷物を配達するだけでなく、お客様と日々きめこまやかな情報交換をすることが、新たなチャンスにつながるのです。

たとえば、「○月○日にセールを予定している」とお客様からお聞きできれば、それは新たなオーダーのチャンスになります。

また、私たちの持つ情報やサービスをお客様に対してしっかり発信するのもセールスドライバーの重要な役割です。

────とはいえ、やはりドライバー経験も求められるのでしょうか?

実は従来、即戦力としてドライバーとしての経験にこだわっていたんです。しかし今は前職が営業職の方でも積極的に受け入れています。運転技術はあとで身につけることができます。むしろ将来のためにも、コミュニケーション能力に期待したいですね。

────このページにアクセスしていただいた皆さんにメッセージをお願いします。

初めは運転が素人でも、セールストークがあれば実績を上げられますし、逆の場合でも可能性は十分にあります。

ただし、運送業=サービス業・接客業だという意識をしっかりもたれた方が、より高いモチベーションをもって仕事に取り組めるでしょう。

1991年、慶応義塾大学文学部を卒業し、西濃運輸株式会社に入社。労務部労務課に配属され、採用・研修業務・人事制度・人事評価制度企画に従事するなど、一貫して労務関係部門を経験。2004年より現職。


西濃運輸(株)

http://www.seino.co.jp

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