――――では、証券業界で必要とされる資質やスキルは何でしょうか? イメージとしては株通、経済通が必須条件と感じますが。
たしかに日々の経済の動きを把握するなどの業務知識や、提案に活かせる経済観や世界観を持つことも必要です。
しかし、それだけではありません。私個人の例で言いますと、そもそも株が好きでこの業界に入ったわけではないんです。人が好きで、人と話す機会が多いのが第一の動機でした。必ずしも経済に精通してからスタートすることはないと思いますね。
最も重要なのは、一人の人間として「人を思いやる気持ち」があるかどうか。収益主義でとにかく売ればいい、ではいけない。たとえば高齢者の場合、本当にこの商品をこの人に勧誘していいのか、セールスの前にいま一度自分で考えてみること。そんなモラルが大切な時代になってきたと思います。
――――もちろん金融関連の資格も必要ですよね。
もちろんAFP(日本FP協会認定資格。金融、社会保険、税金など資産運用のアドバイスを行う)は評価されますし、証券営業を行うために持たなければならない資格もあります。
しかし私はAFPを持っているから価値がある、ということではなく、資格取得の勉強をすることで、倫理観やお客様のニーズをいかにつかんでいくかを学べることに意味があると考えています。
――――アクセスしていただいた方にメッセージをお願いします。
ネット取引のように短期で集中的に儲けるやり方もあるでしょう。しかし株とは本来、その会社にほれ込んで育てるために買うものです。株価を追いかけるだけでは本当の意味での株の楽しみは味わえません。私も営業の現場にいた頃は「いいな」と思った会社には電話をしたり実際に訪問したこともあります。
確かに利益は大切ですが、魅力を感じた会社を育てよう、とお客様に訴える姿勢は大切にしていきたいですね。
株は夢やロマンだと思います。今も本質は変わっていませんよ。
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