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今、企業で必要とされるスキルとは? どのようなスキルの持ち主が成功するのでしょうか? 累計3万人の社会人が学んでいる国内最大規模のビジネススクール〈グロービス・マネジメント・スクール〉などの運営で知られる(株)グロービスの名古屋オフィスディレクター井上陽介氏に聞きました。


――――今、企業で求めらるスキルとは、ズバリ何でしょうか?

スキルとは違うのですが、私が考える一番大切なことは、当人の“思い”です。“動機”や“価値観”といってもいい。自分の思いに根ざした、やりたいことを本人が分かっているのかどうか。人はやりたいという思いがあるほど活躍できるし、最高のパフォーマンスができるものです。以前は本人の思いは隠して、会社の望むことをやらなければならない、という風潮がありましたが、今では自分のやりたいことを追求することができる環境が整ってきました。当人の思いがあってこそ発揮されるのがスキルです。

――――でも、やりたいことを仕事と結びつけるのはなかなか難しいですね。

私はスクール等を通じて多くのビジネスパーソンとお会いする機会がありますが、確かに多くの方々が、なかなか自分のやりたいことを語れない傾向がありますね。その理由はまだまだ自分が何をやりたいのかということについて考えることが足りないのだろうと考えています。まずは自分の好きなこと、興味のあることを深掘りして考えることなどを通じて自分と向き合ってみる。誰もが自分と向き合うのはつらいこともあるし、避けたい気持ちも分かります。でもその努力を怠ると、給与が前職よりもよいからというような安直な理由で転職して失敗してしまったり、選択を誤ってしまう。企業も思いが曖昧な人は採用しにくいと思います。まずは自分自身の思いを見極めてもらいたいですね。

――――“思い”とともに今必要になっているスキルは何でしょうか?

ひとつは“知識”。業界で求められる専門知識やマーケティングやファイナンスなどのビジネスの知識、英語などです。それから“思考力”。仕事の中でピンポイントに解決すべき事柄を考えて見つける力ですね。そして、“対人能力”、つまりコミュニケーションを通じて周囲の人たちを巻き込んでいく能力も欠かせません。これらの3つのスキルが成果を挙げるためには重要です。



――――思考力とは仕事の場でどのように活かされるんでしょうか?

多くの人は毎日の仕事がルーティーンワークになってしまい、せっかくのビジネスチャンスを逃していることが多い。たとえば営業の仕事では、お客様の要望通りにこなすのと、お客様の課題を考えつつ提案していくのとでは成果はまったく違うはずです。高い“思考力”があればそのように顧客の課題を見つけだしていくことが可能です。

――――技術者も、今はコミュニケーション能力が必要とよくいわれます。

中部圏は技術の現場が多いわけですが、そこでは、アウトソーサーや派遣など外部の人たちと共に仕事をするケースが過去と比較して飛躍的に増えています。昔のように一緒に働くのが社内の人だけならば、あ・うんの呼吸で伝わりましたが、今の職場ではよりクリアに伝えなければ、育った環境も価値観も違う相手に自分の考えが伝わらなくなっているんです。ですから、技術者に高いコミュニケーション能力、すなわち“対人能力”が必要になってきています。

――――以前よりも、高いスキルが企業で必要になった背景とは何でしょう?

極論をいうとグローバル競争です。競争に勝つため企業は優秀な人材を確保し集めたい。過去は内部昇進中心でしたが、それに加えて今では中途採用は当たり前です。その結果、高い能力を持つ個人は選択の幅が広がっています。そして、人材を確保するために会社側も良いポジションや役割を用意する。
一方で、組織内部としても競争に勝つために成果主義を導入し、高い能力の個人を評価する流れが生まれています。社内の内部昇進でも年功以上に能力が今まで以上に必要になっています。
このようなサイクルから徐々に能力のある個人と企業のパワーバランスが対等に近くなってきています。その中で、多くのビジネスパーソンが自らを磨き、高いスキルを得ようとグロービスのようなスクールに通ってきているわけです。



――――中部地区で必要とされるスキルの傾向はどうですか?

中部地区は特にどこも好況で忙しいため、ベテランが若手を育成する余裕がなく、また、30代の社員が以前の同じ世代よりも複雑で高度なレベルを要求されるようになっています。従い、若手でも自分より一段上に目を向けられる視点が必要だと常々感じますね。例えば担当レベルの社員でも、課全体、部全体の視点で問題を捉えて解決していく必要性が生まれてきています。


――――今は語学力が必須といわれます。やはり欠かせないでしょうか。

たしかに語学はグローバルな競争を行っている会社では必要とされています。ただし誤解しないでいただきたいんですが、“英語ができるから採用”とはなりません。選考の場合、知識の部分が考慮されるのは実は一番最後。知識はあるには越したことはありませんが、勉強すれば後から身につく。それよりその方の思いや思考力、対人能力の方が重視されます。まずそちらを身につける努力をしてもらいたいですね。

――――スキルは訓練できるとしても“思い”は訓練で身につきません。見つける方法は?

必ず自分の過去にヒントがあります。私も大学でサッカーをしていましたが、一番楽しかったのは後輩を指導したり、人に何かを伝えるときでした。その思いに従って動いたからこそ今があると思っています。ぜひ過去を振り返ってもらいたい。
それでも、なかなか見つけられないなら、いろんな人と会って刺激を受けること。議論したり、自分とは違う生き方の人を見ると、自分の軸が見えてきます。企業セミナーに参加したり転職サイトを見てみるのも、自分へのフィードバックになるはずです。

――――育成制度が充実し、「○年後にはこのレベル」とキャリアデザインを決めてくれる企業もあります。目標立てが難しい人はそうした企業を探すのも手ではないでしょうか。

うーん、個人的にはその姿勢はあまり好きじゃないですね。やりたいことは人から言われて決めるのではなく、自分自身が決める、というのが大前提だと私は考えます。自分なりの軸を持ちながら自分自身を成長させている人の方が、大変そうに見えても長い目で見たら幸せではないでしょうか。

――――最後にメッセージを。

ぜひ、自分らしい仕事人生を見つけて欲しいと思います。そのためには、自分の本当の思いを見つけること、そしてスキルを高めること。そして最後は一歩踏み出すこと。それによって実現できるはずです。がんばってください。

学習院大学法学部卒。消費財メーカーを経て、ビジネスの基礎からMBA取得まで学べるビジネススクールを運営する(株)グロービスに転職。企業向けの人材育成・組織開発部門で、さまざまな業種・業界のコンサルティングを行う。名古屋オフィス開設に当たっては、新規立ち上げのリーダーとして活躍。現在、グロービスの企業向け人材育成・組織開発部門名古屋オフィスディレクター。クリティカルシンキングやキャリアデザインワークショップの講師も務める。

ブログ:http://yoyo.typepad.jp

グロービス・マネジメント・スクール

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(株)グロービス

http://www.globis.co.jp/

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