────ティーアイビーシーは、パソコンや携帯電話などデジタル機器などに使われる、半導体パッケージ基板の分野でトップクラスのメーカーですが、現在の業界動向を教えてください。
この業界は非常に変化が激しく、携帯電話なら半年ごと、パソコンも1年単位でモデルチェンジが行われていく世界です。携帯電話もパソコンもどんどん機能が高まり、また、小さく、軽く持ち運びが便利になっていきます。同様に、私たちが作っている半導体パッケージ基板も配線ピッチを微細にしたり、配線層を多層にすることで高機能化に対応し、また、小さく、薄くすることで小型・軽量化にも対応しています。
そんな中で、競争に勝ち残るためには常に先端を心がけ、先行者メリットをとる必要があります。二番手以降では価格競争となってしまい、利益は出にくくなるからです。先端を走り続けることでビジネスを有利に展開できるのです。
────現在、業界における御社のポジションは?
私たちの製品は大きく分けて3分野です。
主力は、パソコン心臓部のMPU用のパッケージ基板。これは今のところ、日本の4社でしか作れない製品です。つまり世界中のパソコンで使われる基板すべてを国内4社でまかなっているわけです。海外勢とのコスト競争が激しい製造業ですが、この分野においては、日本の技術、モノづくりの力が世界を席巻していると言っても過言ではないでしょう。そんな中で、当社はイビデンと合わせたトータルの販売量で、世界No.1のシェアを取っています。
もうひとつが携帯電話、ゲーム機、デジタルカメラなどに使われるCSP、BGAといったパッケージ基板です。これは技術的にどれだけ「軽・薄・短・小」を極められるかがトレンドで、他国のメーカーも加わり、しのぎを削っている分野です。
3つめはICカードなどに使われるFPC。皆さんも見たことがあると思いますが、クレジットカードや携帯認証カードなどに使われているICカード用パッケージ基板です。世界ではシェアNo.2、日本国内向けでは、ほぼ100%当社の製品をご使用いただいています。
────先端を走り続ける御社の強みは何でしょうか?
当社は、豊田自動織機とイビデンを親会社として1998年に設立されました。イビデンの培ってきたエレクトロニクス分野での技術開発力やノウハウを活かし、またモノづくりにおいてトヨタグループのDNAとも言えるトヨタ生産方式を導入し、徹底的にムダを排除しコストダウンを図っているところが特色であり、強みだと考えます。
────今後の業界の展望と事業展開は?
世界規模でみるとパソコンも携帯電話も需要は順調に伸びており、とくにBRICs(※ブラジル、ロシア、インド、中国)をはじめとする新興国での需要は今後も拡大すると思われます。当社も取引先である半導体メーカーとともに半導体パッケージ基板の分野でさらなる成長を目指します。
また、少し先の展望となりますが、これまで民生で培ってきたパッケージ基板の技術力を活かして、カーエレクトロニクスの分野にも進出していきたいと思っています。
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