────住宅業界の現状について教えてください。
2006年の国内の戸建て新築件数は125万戸で、消費税が切り上げられる近い将来には100万戸を切る、ともいわれています。新築分野では、限られたパイの中での取り合いとなってくるでしょう。
当社は2004年に、トヨタ自動車の住宅事業部門が独立してスタートしました。新築戸建ての分野では現在、業界11位ですが、前年比にくらべて右肩上がりの成長が続いており、2010年には業界トップ5に入れるよう、努力を続けています。
もちろん新築分野は今後も当社の主力ではありますが、第二、第三の柱として、マンションやアパート、アフターフォローであるリフォーム分野も強化し、総合住宅メーカーを目指しています。
────業界において、トヨタホームの特色や強みを何でしょうか。
当社の主流は「工業化住宅」ともいえるユニット住宅です。工場内で住宅の85%を作ってしまい、残り15%は建築現場での仕上げ作業になります。品質が安定しますし、作業環境も向上し、工期も格段に短縮できます。
トヨタが住宅を手がける出発点となったのが、創業者の豊田喜一郎が終戦直後の焼け野原を見て、「木と紙でできた燃えやすい家ではだめだ」 と、鉄骨による住宅作りを決意したことによります。今では、防火性に優れているのはもちろん、スーパースケルトン構造による耐震性や、劣化防止、長寿命、温熱環境などの品質面でもお客様には評価いただいています。
────住宅に対する顧客の志向も多様化していますね。
ユニット住宅の場合、すべてのニーズを満たすのは難しく、規格の中でいかにお客様に満足いただける良いものを作り出せるか、当社の担当者は知恵を絞っていますし、そこを面白さととらえる技術者も多いですね。
またニーズに応えられる幅広いバリエーションをそろえるため、ユニット式に加えて、現場で鉄軸を組み立てる方式や、分譲住宅用スチールハウスも用意しています。
────競争が激しくなる中、他社との差別化として何を打ち出していく必要がありますか?
やはりトヨタ自動車から生まれたハウスメーカーですので、トヨタグループの一員として、その技術力を家作りにも導入していければ、と考えています。たとえば自動車エンジン向けに開発されたダイナミックダンパーという静振装置を住宅にも採用しています。これには2階で歩く音の響きを抑えるなどの効果があります。自動車作りの技術で住宅にも活用できるものはこれからも積極的に導入していきたいですね。
また住宅ローンや保険についても、トヨタグループの関係各社と連携し、オリジナルローンを組むなど、総合力を活かした事業展開を行えるのが、当社の強みとなるでしょう。
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