一時はリットル200円超えも出たガソリン価格ですが、このところわずかずつですが下がってきています。
とくに愛知県はタンカーの受入れ基地が名古屋港近辺にあって輸送費がかからないため、全国的にみてもさらに下がっています。
'08年8月下旬現在で、名古屋市では170円台前半といったところです。
今後、高くなる一方だといわれていたガソリンが、なぜここにきて下がってきたのでしょうか。
まずなぜ値上がりしていたのか考えてみましょう。
ガソリンの原料となる石油は、昨年あたりからジワジワ上がりはじめ、今年に入って高騰しました。
その理由はさまざまに挙げられています。
そのひとつが、「サブプライム住宅ローン破綻で、儲け先を失った投機マネーが、石油の市場に流れて価格をつり上げた」という説です。
実際、世界では石油が極端に不足しているわけではなく、価格を下げるため、むしろ産油国では増産しているほどです。いわゆる需要と供給のバランスだけで値上がりしているわけではないのです。
また、中国など新興国での石油需要増や、イラクなど産油国の治安悪化、中央アジアのパイプラインのトラブルなども原因に挙げられています。しかしあまりにも値上がり幅が大きいため、本当の原因とはいえないようです。
したがって「投機マネー犯人説」が今のところ有力で、専門家など多くの人々に信じられています。
では、なぜ上がり続けていた石油価格が今、下がってきたのでしょうか。
ひとつには、石油の値上がりで世界規模で景気が悪くなってきた背景があります。
石油は燃料としてだけでなく、化学製品の原料にもなりますから、その影響は大きなものがあります。
景気が悪くなれば、当然、石油は使われなくなります。だから石油が余り、価格が安くなっていく、というわけです。
もうひとつが、投機マネーによって無理矢理つり上げられていた石油バブルがはじけた、という説です。
投機で値上がりしていた市場は実態を伴っていませんから、「もうすぐ値下がりする」という不安を投資側が感じると、損をしないうちにと逃げ出し、下落してしまいます。
今、それが起きはじめているのではないか、と予想している専門家もいます。
たしかに、原油価格はゆっくりとですが下がり続けていて、それを受けて日本でも石油元売り会社が卸し値引きを決め、ガソリンスタンドのガソリン代が少しずつですが下がっています。
ただし、このまま石油価格が下落し続け、ガソリンがどんどん安くなるか、というとまだ分かりません。
利益が少なくなる産油国は価格下落に抵抗していますし、元売り各社にも大幅値下げをしたくない思惑があります。世界情勢しだいではまた上昇が始まるかもしれません。
ここはなんとか石油価格が落ち着いて、また景気が上向く助けになれば、と願いたいところです。
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