派遣社員の皆さんや、派遣から契約社員に切り替わった皆さんに、大いに気になるのが、「2009年問題」です。
2006年に、「偽装請負」が大問題になったことは皆さんも覚えていると思います。
請負(アウトソーシング)の契約なのに、実際は派遣社員のように仕事をさせ、派遣先が安全管理責任を負わなくて済むようにする違法行為が、大手メーカーに広がっていました。
問題化を受けて多くのメーカーでは、請負をやめて派遣社員へと切り換えることになりました。
ちょうど2007年から派遣社員の派遣期限が1年から3年に延長されたため、派遣への切り換えもしやすくなったからです。
そこで問題になってくるのがこの「派遣期限」です。
なぜ派遣期限が定められているかというと、無制限に派遣を使えるようにしてしまうと、正社員のすべき仕事を、派遣の待遇で何年でもやらせることができてしまうからです。
それを避けるため、同じ派遣社員を3年以上同じ仕事で使うことは法律で禁じられています。もしその後も同じ人に働いてもらいたいなら、直接雇用に切り換えなければなりません。
そんな中、2009年には、偽装請負問題後に急きょ雇用されたメーカーの派遣社員たちが一斉に3年の期限終了を迎えるのです。
厚生労働省の通達では、この時点で、派遣社員を正社員や期間工として雇用し直すか、請負契約(アウトソーシング)に切り換えなければなりません。
これが「2009年問題」です。
ちなみに期間工とは契約社員の一種で、メーカーでは期間従業員、期間契約社員などと呼ばれています。
「派遣から直接雇用になるなら、いいことじゃないか」と思われるかもしれません。確かにそうです。
しかし、これがスムーズに運ぶかどうかはまだ分からないのです。
確かに、派遣先のメーカーとしても「じゃあ」と他の派遣社員に切り換えるわけにはいきません。
厚労省が「新たな派遣を受入れるまでが3か月以内なら、継続的な派遣とみなす」と指針を出しているからです。
しかし、コスト高に悩むメーカーとしては、人件コストや今後の需要の浮き沈みを考えて、直接雇用は避けたいのが本音です。
そこで、一部の派遣会社が、「飛び石」というやり方をとろうとしました。これがクセ者です。
つまり、派遣社員をいったん契約社員として直接雇用させ、3か月が過ぎたら、また派遣社員の身分に戻してしまうのです。
まさに法の抜け穴を突くようなやり方ですし、働く側の権利もないがしろにしています。
しかし、今後も行政、派遣会社、派遣先メーカー、労働者をめぐり、2009年問題は続きそうです。
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