勤務体制が多様化した現在、正社員だけでなく、パートタイマー、アルバイト、派遣社員、アウトソーシング(業務請負)など、さまざまな立場の人が会社で働いています。
そうした中で、どうもはっきりしないのが「契約社員」です。
正社員と契約社員のいちばんの違いは、「有期」であることです。「3カ月」「半年」というように、期限付きの契約を会社と結んで働きます。会社が契約を更新すれば続けて働くことができますが、会社が更新しなければ、そのまま契約完了になります。
給与は時給制のパートやアルバイトとは違い、月給制であることがほとんどです。契約期間は必ず明確な数字をもって示されることが条件で、「繁忙期の間」「プロジェクト完了まで」「次の正社員が入るまで」といったあいまいな期限は認められていません。
会社が契約社員を雇用する理由はさまざまです。
ここでは「積極的理由」パターンと「消極的理由」パターンを紹介しましょう。
積極的理由のパターンは、たとえば、特殊なスキルを持つスペシャリストを一般社員とは異なる給与・待遇にしたいときや、あるプロジェクトを行うために期間限定で人材が欲しいときなどに雇用する場合です。
キャリアプランの選択肢のひとつとして会社が年俸制などによる契約社員コースを用意している場合もあります。また、ベテラン社員が定年後も働く続ける嘱託社員も契約社員の一種です。
つまり本人のスキルや勤務の仕方から一般社員とは違う待遇の必要があるため契約社員という形をとるわけです。
一方で、消極的理由のパターンは、正社員を雇いたくはないが、常勤でパート・アルバイトより責任ある仕事をさせるために雇う場合です。つまり「人件費をおさえることが目的」の場合です。
「消極的理由」のケースでは、正社員と同じ仕事をさせられるのに待遇に差があったり、解雇をめぐるトラブルも多く見られます。
このような会社での契約社員は、正社員とパート・アルバイトの中間に位置する立場とされています。会社によっては、パート・アルバイトを契約社員と呼んでいる場合すらあります。
正直にいって、契約社員の身分は正社員にくらべて不安定です。
まず昇進・昇給・退職金などはないケースがほとんどです。
契約更新をしていけば長く働けますが、本人がずっと同じ仕事を続けたいと思っても、会社が契約を更新しなければ辞めざるをえません。解雇しやすいため、会社の雇用調整に利用されてしまうこともあります。
ただし、契約で決められた雇用期間中はいきなり解雇されることはなく、その場合も30日以上前の予告や解雇予告手当などが条件になっています。(逆に契約社員も期間中は勝手に辞めることはできません。会社との合意が必要です)
一方で、契約社員には比較的会社から自由というメリットがあります。勤務の仕方や出勤日数を契約時に取り決めて、自分なりのライフスタイルを確立することも可能です。
また正社員では許されない他社との二重契約も(法的には)認められています。もっとも会社によって雇用条件が違うので、事前に調べておきましょう。
契約社員は法律で定められている職制ではないので、その境界があいまいです。そのため「委託業務契約だ」と会社が主張して、労働法の保護を受けさせないようにするケースもあります。
しかし現在では、契約の内容ではなく、実際の仕事の状況をみて判断されることになっています。
たとえば「指示を拒否できる・できない」「勤務場所や勤務時間の拘束がある・ない」「源泉徴収があるか・ないか」といったことが基準になります。自分の勤務状態はしっかり記録をとっておきましょう。
どちらにせよ、契約社員の立場が良いか悪いかは、雇用する会社次第と言えそうです。
その会社はなぜ契約社員として雇用するのか? 契約の内容や条件は? 正社員との条件の違いは? それらを事前にきちんと確認しておきましょう。
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