失業手当をもらうためには、「雇用保険」に加入している必要があります。社会保険などのある会社に勤務していれば自動的に加入しているはずです。
ただし、アルバイトや契約社員、派遣社員などで働いている場合は、雇用保険に加入していない場合もあるので要注意です。また、社員を都合よく業務委託(つまり外注業者)扱いにして、保険関係に一切加入していない悪質なケースもあるので気をつけましょう。
心配な人は、給与明細などをチェックして雇用保険の天引き記載があるか確認しておきましょう。
さて、これまでの失業手当は、雇用保険に退職以前の1年間に6ヶ月以上加入していれば支給されました。(週20時間以上30時間未満の「短時間労働被保険者」は、退職以前の2年間に1年間加入が必要でした)
ところが、雇用保険法が改正されて、2007年10月1日からは労働時間にかかわりなく、「12ヶ月以上の加入期間」が必要になりました。つまり単純に考えて、約1年間は勤務していなければならなくなったわけです。(10月1日以前の退職者は対象外です)
失業手当を受給するには、ハローワークへ行って申し込む必要があります。前回も書きましたが、ハローワークは「失業手当をくれる場所」ではなく、「再就職を支援する機関」で、失業手当はその期間中の生活資金です。それを忘れないようにしましょう。
さらに、長く続いた不況で失業が多くなった時期に失業手当の支給が増えたため、ハローワークでは支給の要件を厳しくするようになっています。
ハローワークには、4週に1回(月1回ではありません)の「認定日」に出向き、「就職活動の実績」「失業してからの収入」などを失業認定申告書に記入して提出します。
このうち「就職活動の実績」ですが、「月3回以上の就職活動」をしていなければ、「働く意志がある」とは見なしてもらえません。
たとえば、合否はともかく3社の面接に行ってきた、というような実際の行動です。いい加減な嘘を申請して、バレると大変なことになります。嘘はやめましょう。
ハローワーク内には求人票も用意しており、この「求人票の閲覧」も就職活動1回分にカウントしてくれます。
また、あなたの志望職種をもとに、ハローワークから求人している会社を紹介される場合もあります。その際は理由なく応募拒否はできません。
ここで「就職活動の実績がない」つまり「働く意志がない」と見なされると、失業手当が給付してもらえません。注意しましょう。
さてハローワークの「認定日」ですが、少しややこしい設定となっています。
認定日はあなたが初めにハローワークを訪問した日によって変わります。ハローワーク側の都合で決められますから、あなたの都合で日にちを指定したり勝手に変更したりはできません。
大抵の人が面食らうのは、「最初から4週分(28日分)の手当をもらえるとは限らない」というシステムです。
つまり支給対象期間や認定日のタイミングによっては、第1回の給付額が28日分ではなく、「6日分」ということもあり得るのです。
もちろん、第2回給付分がその分多めになり、最終的には規定の額は給付されます。
しかし、退職後にアテにしていた失業手当が4分の1しかもらえないとなると、当座の生活に困ってしまう場合もあるでしょう。
とくに自己都合退職の場合、すでに3ヶ月も支給が延期されているわけですから、ますます苦しくなってしまいそうです。
もし退職を考えているなら、とりあえず当面の生活資金ぐらいは貯めておいた方が安心できそうです。
では、失業手当をもらっている間は、アルバイトもしてはいけないのでしょうか?
この場合、1日の収入が規定の金額以下なら、働いていないものと見なされて、失業手当は全額給付してもらえます。
毎年この金額は改訂されており、平成19年8月以降の金額は1日1341円です。
そんなアルバイトはなかなかないと思いますが、これを超えるとその分、失業手当が減額されることになります。
もちろん無制限にバイトをしていいわけではなく、「週20時間以上」「1年以上雇用される見込み」などを基準にハローワークから「就職した」と見なされてしまうので気をつけましょう。
その場合はもちろん失業手当の給付はゼロになってしまいます。規定は各ハローワークで違うので、アルバイトをするときは、対象のハローワークに事前に申告しましょう。
さて、就職したのに失業中として手当をもらい続けたり、内緒でアルバイトをした場合はどうなるでしょう。
もしバレてしまった場合、「不正受給」となります。
不正受給が発覚した場合、最大不正受給額の3倍の金額を徴収されることになるほか、刑事罰の可能性もあります。申告は正直に行いましょう。
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