最近、企業はしきりと「CS/顧客満足度の向上」を口にするようになっています。
しかし社員からしたら、どうすれば顧客満足度を向上させられるか、よく分からないでしょう。
これまでの企業では、大量生産方式を取り入れ、顧客それぞれの志向の細かな違いは無視し、顧客の方が企業の決めたルールに我慢して合わせればいい、という姿勢が長く続いてきました。
従来、不満を持った顧客が「お客さま相談窓口」にクレームを持ち込んでも、言葉は悪いですが単なるガス抜き扱いで、まず顧客の声が企業を動かすことはありませんでした。
ところが、市場は大量生産から多様化へと変わり、顧客それぞれの志向に応える必要が出てきました。またインターネット普及により、顧客対応の悪い評判もたちまち広がるおそれも出てきました。
企業も否応無しにCS(Costomer Satisfaction/顧客満足)を重視しなければならなくなったのです。
顧客満足度は、製品やサービス自体の性能や品質への感想にとどまりません。接客や営業の質、アフターフォローやメンテナンス、クレーム対応などあらゆる局面で問われることになります。
では、顧客満足度はどうやって測るのでしょうか?
一般的には、商品を購入した顧客に対して電話・メール・ハガキなどによるアンケートを行ったり、調査会社に依頼して調べてもらうことになります。また営業担当が得意先に対してヒアリングをすることもあるでしょう。
顧客満足度調査には、「購入時」に行う調査と、「顧客対応時」(クレーム対応や問い合わせ、メンテナンスなど)に行う調査に分けられます。
購入時の調査はおもに企業や商品のイメージなどが判断基準となり、顧客対応時の調査では、おもに人的サービスの質が問われることになるでしょう。
各社の製品やサービスのレベルにさほど差がなくなってきた現在、とくに人的サービスが差別化のポイントとなってきているようです。
こうしたCS調査を通じて、企業は自社の長所や短所、商品の課題をつかみ、今後の事業展開や改善に活かしていくことになります。
ところが、このアンケートがなかなかクセもので、簡単にはいきません。
多くの追跡調査が、アンケート調査では好意的な回答をした顧客が、その直後に購入の継続をやめてしまったり、他社に乗り換える例があることを示しています。つまりアンケートではなかなか本音を出してくれないことも多い、ということです。
またアンケートに積極的に答えてくれるのは特殊な一部の層が中心で偏りがあり、決して顧客全体を代表するものではない、という意見もあります。
企業は表向きの調査を行うだけではなく、企業(とくに営業担当者)は顧客と常日頃から密なコミュニケーションをとり、信頼関係を築いておく必要があるでしょう。
こうした顧客との関係は「顧客ロイヤルティ」ともいわれ、ビジネスの枠をこえて本音で話し合うこともできますし、顧客ニーズの吸い上げなどにも大いに役立つのです。
日頃の信頼関係こそが顧客満足度アップの最大の武器となるといえるのです。
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